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ジャストシステムの日本語テクノロジー

多様性追求期

2002年2月、ATOK15 において、ジャストシステムは「話し言葉関西モード」を搭載し、いわゆる方言対応の第一歩を踏み出した。引き続き、2003 年には、「話し言葉東北モード」と「話し言葉九州モード」を追加、さらに2004年以降も多様な方言への展開が計画されている。また、ATOK16 では、研究者を中心として要望が多かった「文語モード」も追加された。

これらの動きは、多くの日本人に共通して受け入れられる規範性を持ったツールとしてのATOKから、さらに多くの日本人がその多様な言語文化的背景やさまざまな使用状況において、より自由な自己表現を可能とするツールへの脱皮もしくは飛躍を意味している。多くの人が満足する一つのATOKから、あらゆる人々のためのそれぞれのATOKへ、といったスローガンで置き換えても良いかもしれない。

一方、1993年のMacintosh対応を皮切りに、ATOKはWindows、Solaris、hp-uxなど、さまざまなハードウエア、O.S.対応している。さらに、最近では、PDA用のO.S.や携帯電話、セットトップボックス、ゲーム機に至るまで、さまざまなハードウエアデバイスでATOKが使用できる環境が整いつつある。

これらの多様なプラットフォーム、ハードウエアへの対応は、ある意味で、現今のデジタル装置における日本語利用の拡がり、と捉えることも可能であろう。携帯電話の電子メール機能でやりとりされる言葉もまた、日本語であることには変わりがない。そして、そこから、新しい日本語の使われ方、立ち現れ方が生まれてくる。

また、2001年2月発売のATOK14 以降、さまざまな専門辞書がオプションとして用意されるようになり、利用機会、利用目的によって、仮名漢字変換辞書を切り替えながら利用することが出来るようになっている。

PDA用ATOKや携帯電話用ATOKには、べた書き文変換とともに、推測変換と呼ばれる新たな変換方式が併用されている。インクリメンタルサーチと同様の方法で、途中までの入力を参照して、類似の入力履歴を引き出してくることにより、入力効率をアップさせようという試みである。この方式は、もともとPC 用のATOKで先に開発されたものであるが、限られた入力デバイスによって、限定された目的のための定型的な情報を入力する際に特に有効であるため、 PDAや携帯電話などへの適応によってさらなる展開が期待されている。

パーソナルコンピューターによる日本語文書入力需要の増大とともに発展してきたATOKのべた書き文変換、二文節最長一致法というフレームワークもしくはパラダイムが、携帯電話を初めとするさまざまなデジタル機器による、多様な利用状況の進展とともに、新たな多様なフレームワークへと展開する兆しが現れつつある。21世紀のATOKの歴史は、仮名漢字変換機能の歴史としてのみならず、多様な日本語入力、日本語処理の歴史の中で、さらに相対化して語られるべきものとなろう。

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Update:2009.07.17